ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。
目次
犬の腸閉塞について
犬が消化吸収できない異物を誤食してしまった場合、異物が消化管で詰まってしまうと液体やガスも通過できないような状態に陥り(完全閉塞)、嘔吐・食欲廃絶などの臨床症状が激しく出現します。
中でも紐状異物は広範囲の消化管が傷害され、消化管がアコーディオンのように折り畳まれてしまい、この状態での時間経過が長いほど、消化管の潰瘍、壊死、穿孔が発生するリスクが上昇し、致命的になってしまいます。
診断はレントゲン検査や超音波検査などの画像検査にて行い、治療は開腹手術にて、詰まった異物を摘出することで救命することが可能です。
犬の腸閉塞(紐状異物)に対して外科治療を行った症例
今回は紐状異物を誤食してしまった犬の症例です。
症例は1歳のダックスで、食欲はあるが今朝から吐いているとのことでした。
レントゲン検査、超音波検査にて紐状異物が疑われたため、その日の内に緊急的に試験開腹(手術)を行いました。
レントゲン検査 下腹部に異常な消化管のガス貯留所見
超音波検査 アコーディオン状に引き攣れた消化管と中に太めの紐状異物を確認
以下は手術の画像になります。
苦手な方はご注意ください。
開腹すると広範囲にアコーディオン状になった消化管が認められ、一部が腸重積を起こしていました。アコーディオン状に引き攣れた消化管
異物を胃まで送っているところ
まずは腸重積を用手にて整復し、その後詰まっていた紐状異物を手繰っていき、広範囲に消化管に引っかかっていた紐状異物を胃の中まで全て送ることができました。
その後、胃の中より異物(今回はストッキング)を摘出し、無事手術を終わらせることができました。
今回は消化管をほとんど傷つけずに済みましたが、紐状異物は複数箇所の消化管を切って引っ掛かりを解除しないといけないことも多いです。
もし、家のわんちゃんや猫ちゃんが異物を誤食した場合は、なるべく早めに病院にご相談ください。
執筆担当:
獣医師 渦巻浩輔