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牛込柳町駅より徒歩約3分・新宿区市ヶ谷
【市ヶ谷動物医療センター】

ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

犬の椎間板ヘルニア

<椎間板ヘルニアとは>
椎間板ヘルニアは、椎間板が脊髄を圧迫することで痛みや麻痺が生じる疾患です。
椎間板とは、脊椎を構成する骨と骨の間に存在するクッションのような組織で、衝撃を吸収する役割があります。下の図に示したように、髄核と線維輪で構成されています。
椎間板ヘルニアにはいくつかの病態があり、線維輪が破れて髄核が飛び出すタイプ(Hansen Ⅰ型)と、加齢により線維輪が突出するタイプ(Hansen Ⅱ型)、そのほか特殊なタイプの椎間板ヘルニアがあります。
Ⅰ型は遺伝などの要因で椎間板髄核が硬くなることが原因となり、特にミニチュア・ダックスフンド、ビーグル、シーズー、ペキニーズなどの犬種で発症しやすいことが知られています。3〜5歳での発症が多いことが特徴です。また、高所からの落下や交通事故などの衝撃により起こる場合もあります。
一方、Hansen Ⅱ型は線維輪が肥厚することが原因となります。高齢犬での発症が多く、慢性経過をたどります。
椎間板ヘルニアは首(頸椎)や胸(胸椎)、腰(腰椎)で起こる可能性があり、発症部位によって症状が異なります。
頸椎で発症した場合は首を触ると痛がる、首を動かさなくなり上目遣いになる、といった症状が見られ、進行すると前肢や後肢の麻痺、呼吸困難を生じる事があります。
尾側胸椎や腰椎で発症した場合は、抱いた時に痛がる、背中を丸めるなどの症状が起こり、前肢機能は障害されませんが後肢麻痺が生じることがあります。

治療法は様々ですが、椎間板ヘルニアの進行の程度や発症部位、年齢、持病の有無などに応じて最適な方法を選択します。当院では内科治療(鎮痛薬、コルセットなど)のほか、外科治療(ヘミラミネクトミー、ベントラルスロット、PLDD:経皮的レーザー椎間板髄核減圧術)を組み合わせた治療も可能です。
PLDDのイメージ

椎間板ヘルニアのMRI

<症例>
上の画像は胸部および腰部の椎間板ヘルニアを発症した犬(トイプードル、6歳齢、避妊雌)のMRIです。▽△で示した部分の椎間板が脊髄を圧迫しています。

このワンちゃんは、元気がなく、どこか痛そうにしているとの事で来院しました。エックス検査、および神経学的検査等により椎間板ヘルニアが疑われたため内服薬による治療を開始し、後日MRI検査を行いました。
MRI検査では正確な病変部位を確認することができます。検査後、PLDDによる減圧術を実施しました。PLDDとは、病変部へのレーザー照射によって髄核を蒸散させることで椎間板内圧を下げ、脊髄への圧迫を軽減する低侵襲治療です。
PLDDと内科治療により症状の改善が認められました。


椎間板ヘルニアに関するお悩みやご相談がございましたらお気軽にお問合せください。

執筆担当:獣医師 佐藤玲奈