ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。
●猫のウイルス性鼻気管炎
多くの猫が生活する場所(ペットショップやブリーダーなど)からおむかえした猫さんに感染リスクが高く、くしゃみ・鼻水・食欲低下などの症状を起こすため、一般的には「猫風邪」として広く知られています。時には目ヤニや角膜潰瘍、結膜炎など眼への症状や皮膚炎を表すこともあります。
この疾患自体は、猫ヘルペスウイルスⅠ型によってひきおこされますが、猫の上部気道感染とよばれるものには他のウイルスや細菌などが複合的に関わっていることがあります。このウイルスは一度感染すると、症状のないときでも体に潜伏しており、ストレスなどで免疫力が低下したときに再活性することが多く、そのため幼い猫や高齢の猫、抵抗力の弱った病気を抱える猫において症状を出すことになります。
●猫ウイルス性鼻気管炎をおこした症例
この症例は、ペットショップからおむかえしてから毎日ずっとくしゃみをしていました。お家には他にも多くの猫さんがいて、中には同様の症状を持っている子もいました。涙・眼ヤニ・鼻水が見られ、都度免疫を活性化する注射や目薬で良化と再発をくりかえしていましたが、1歳をすぎたころに一気に結膜炎が悪化しました。角膜に傷もついていたため、痛みにより右眼をつぶってしまっていました。
その後も右眼と左眼の症状を繰り返し、症状がひどい時には口角にも皮膚炎が見られました。
結膜炎のためまぶたの縁が赤く、痛みのため右眼をつぶっている
左眼の結膜炎、眼瞼炎の悪化
左側の口角炎。出血がみられます。
その後、ウイルスのPCR検査(遺伝子検査)を実施し、ヘルペスウイルス陽性であったため、抗ウイルス薬を開始しました。反応はとてもよく、1ヶ月後にはだいぶ良化しました。
投薬後1ヶ月の左眼
投薬後1ヶ月の左口角